これは観察記である。だが、あなたの知っているそれとはすこし違うかもしれない。なぜなら、彼が観察し、記す動物たちの姿は、目に映るままの姿ではないからだ。
一度彼の瞳に映れば、あらゆる動植物たちは彼の想像力とユーモアによって、異なるものに見立てられストーリーを付けられ、詩へと変貌する。そしてその詩が持つ柔らかな文体は、動植物に対する愛情に満ちた穏やかな眼差しを感じさせる。
例えば、こんな風に...
栗鼠
羽飾りだ!羽飾りだ! さよう、それに違いない。だがね、君、そいつはそんなとこへ着けるもんじゃないよ。
鯨
コルセットを作るだけの材料は、ちゃんと口の中に持っている。が、なにしろ、この胴まわりじゃ……!
蜥蜴
私がもたれている石垣の割れ目からひとりでに生まれて来た子供のように、彼は私の肩に這い上がって来る。私が石垣の続きだと思っているらしい。なるほど、私はじっとしている、それに、石と同じ色の外套を着ているからである。それにしても、ちょっと私は得意である
塀——「なんだろう、背中がぞくぞくするのは……」
蜥蜴——「俺だい」
この作品に載せられた短文には、挿絵が付いている。これがまた味わいがあり、彼の視線に映る美しい動物たちの姿を見せてくれているようで愉しい。短文ゆえに生まれる余白も、想像を広げる手助けとなり彼の文章から受け取るイメージを豊かにしてくれる。
春の陽気のように温かく、優しいこの作品は寒さの厳しいこの時期にあっても、明るい日が差し、草花や土の匂いがする穏やかな日々をあなたの中に思い起こさせることだろう。